東京音楽大学付属民族音楽研究所

2019年度公開講座No.2

伊福部昭の遺した楽器
〜明清楽器を聴く【其の九】〜

講座詳細

開催日程 2019年 9月 26日 18:30開演(開場は30分前)
場所 東京音楽大学池袋キャンパスA館 A200教室
入場料 入場無料
申し込み 予約不要。当日先着順のご入場となります。
定員 200名

明清楽の魅力《清楽演奏家・鏑木渓庵、没後150年を記念して》

 明清楽とは、幕末から明治前期に我が国において、とても盛んに演奏された中国の民間音楽です。文政年間に長崎遊学の日本の文人たちが、中国福建省より貿易のために来ていた、林徳建らとの交流の中から修得されたものだと言われています。その後長崎から、大阪派・東京派と二分され広まりました。
 今回の講座は本年9月25日が、その東京派を代表する人物、鏑木渓庵の150回忌にあたるため、それを記念し、渓庵を中心に明清音楽の魅力を探って行きます。
 渓庵は山水画を得意とした画家・鏑木雲潭の次男で、本名は徳胤、通称・卯三郎、号は清音斎といい、月琴の楽譜、清風雅譜(安政6年)を出版し、東京において広く明清楽を伝播、その隆盛に大きく貢献しました。
 また明清楽は、煎茶席には欠かせない音楽であり、渓庵は煎茶の教授としても知られます。(清風雅譜の清風とは煎茶趣味に由来するものと思われます。)
 鏑木渓庵の死後、明治9年、墨田区向島の長命寺に於いて追福会が開かれ、数千人が集まりました。現在も境内に石碑が残っており、背面には参集協力者の名前が刻されています。
 また、港区三田の長運寺には明治3年、清楽煎茶社中により建立された、月琴のレリーフで飾られる渓庵の墓があります。

渓庵の墓

講師:稲見 惠七(明清楽器研究者)

稲見 惠七(いなみ けいしち)

富山県魚津市出身。明清楽に魅了され、明清楽資料を精力的に収集、研究を重ねる。月琴など、明清楽器を中心とした奏法を修得し、またさまざまな楽器の製作、修復も手掛ける。2004年には琉球御座楽復元演奏研究会の依頼により、長線(阮咸)・月琴・四線・胡琴を製作。東京音楽大学民族音楽研究所初代所長、伊福部昭氏が遺した明清楽楽器と御座楽楽器の共通性を見いだし、以来、東京音楽大学民族音楽研究所公開講座や、同研究所民族楽器入門講座などで講師を務める。

明清楽プログラム

明楽 秋風辞・清平調
清楽 九連環・茉莉花・水仙歌・紗窓外・渓庵流水・月宮殿・獅子

※曲目に変更がある場合があります。

出演者

元長崎明清楽保存会会員 山田慶子・浦田美砂
東京組 稲見惠七・生田容子・井上寛子・岩上真弓・加藤徹・金子美也子・神田川鳩・佐藤新夏・佐藤八起・柴田緑・鈴木綾子・鳥谷部輝彦・八木秀夫・三好史・渡邊萌子 
音楽監修 稲見惠七、加藤徹(明治大学教授)
司会進行 甲田潤(民族音楽研究所専任研究員)

会場地図