東京音楽大学付属民族音楽研究所

民族楽器入門講座「トンコリ」

トンコリはアイヌ民族の伝統楽器です。江戸時代の本「蝦夷島奇観」(1800年)には樺太と北海道北部で演奏されていたと書かれています。

開講日 準備中
時間 19:00~20:15(入門)
20:30~21:45(中級)
曜日 金曜日
受講料 12,960円(税込) + テキスト代別途1,000円
楽器レンタル 楽器持ち込み歓迎、貸し出し無料
定員 15名

講座内容

入門

アイヌ民族は、日本北部の先住民族。厳しい自然の北国で生きる為に生まれた文化は、自然や人に対して敬意をもち、互いを尊重する調和と共存の心を育んできました。アイヌの中でも北部地方にのみ伝えられた弦楽器「トンコリ」は、5弦の竪琴です。1970年代に、伝統が途絶えかけましたが、本講講師はその演奏法の復元に努力し、多くの曲が演奏可能になっています。アイヌの人たちが現代の私たちに伝えてくれる「究極の癒し」の音楽。その独特の音楽、演奏法を五線譜や演奏譜を用いながら易しく解説します。

中級

中級講座は「入門講座」よりも、少し複雑な曲に触れていきます。また貴重な映像や音源資料、講師自ら取材し蒐集した資料やお話なども含めて「トンコリ」の周りにあるアイヌの音楽、「ムックリ」や「古謡」、文化の背景なども合わせて解説していきます。「入門講座」は主に楽器の基本となる演奏法を学んでいきますので、こちらを先に受講されるか、同時に受講されることをお勧めしますが、「中級講座」は演奏技術習得を第一に目指しているものではないので、アイヌ音楽、アイヌ文化全般に興味をお持ちの方はこちらだけの受講も可能です。

講師:千葉 伸彦(ちば のぶひこ)

神奈川県在住。トンコリ演奏家・民族音楽研究者(音楽学博士)・本学講師。
1990年からアイヌの古老達の教えを受け、伝統的な歌唱法や楽器演奏法の研究を行い、多数の伝承を復元した。現代社会に適応する伝統的歌唱の学習方法の研究により東京芸術大学にて博士号を取得。ウポポイ(国立民族共生象徴空間)、札幌大学ウレㇱパクラブ、平取アイヌ文化保存会、阿寒(青年部他)、東京の学習グループなどで指導し、東京オリンピックではアイヌのパフォーマンスの音楽監督を務めた。2021年にはアイヌ音楽の伝統的な価値観を伝え残すための活動開始を宣言。

著作:「阿寒のうた(ウポポ)」(2012)、「The Ashgate Research Companion to Japanese Music」(共著2008)、「木村チカマㇵのトンコリ演奏法」(2008)、「小泉文夫録音、西平ウメ演奏・解説によるトンコリ演奏法」(2007)、「西平ウメのトンコリの演奏法について」(2005)、「北海道東部に残る樺太アイヌ文化1」(共著1996)、ほか。

紹介映像

  • 2013年度公開講座よりトンコリとムックリの演奏風景

究極の癒しの楽器

シンプルな竪琴ですが、この美しい音色を病気の神様がきらって近づかないといいます。眠りを誘う楽器とも言われています。

楽器の素材

胴体から頭部まで一本の木を削りだして作られており、丸太の半割りをくりぬいて胴体を作ります。5本ある弦は、古くは動植物の繊維から作りましたが、近年以降三味線の糸が使われるようになり、現在はギターのナイロン弦やガット弦も使われています。

弾き方

両手の指を使って爪弾いたり、右手でかき鳴らしたりして弾きます。床に座って弾いたり、立って弾いたり、踊りながら弾いたり、寝ながら弾いたりなど、自由に演奏されてきましたが、さまざまですが、講座では椅子に座って弾きます。ときどきは興に乗って踊りながら弾くこともあります。

アイヌ音楽の研究活動

当研究所は、初代所長 伊福部昭により、アイヌ音楽の研究が主要テーマの一つとして掲げられています。現在では貴重なCDやDVD、書籍などを蒐集する活動をしています。またアイヌの方々をお招きし「公開講座」としてその歌や音楽・お話を一般公開してきました。